5 Significant Pieces –SKULL-
ブランドの根幹を掘り起こすのは経歴が積み重なれば積み重なる程に難しくなっていく。ブランドのヒストリーが１５年を超えたANOTHER HEAVENにとって、要となるアーティストのKOMYが描くグラフィックは初期のアメリカンカルチャーの影響が色濃く出ているパートから風刺的なポップアート色の強いパートまで幅広く、多彩であるが故にブランドの根幹を掘り起こす困難さを感じさせもするのだが“やはり”と言うより他に無いぐらいに、ANOTHER HEAVENにとっての根幹はSKULLの持つ多種多様な文化文脈をシーズン毎に表現していく事にある。
そうしたブランドの根幹を汲み取る意味でも銘打たれたマンスリーで行われる新作リリース「5 Significant Pieces」だけに、ファーストピースはSKULLがモチーフとして選ばれたのだろう。この先のANOTHER HEAVENを象徴するシルバーアイテムとして制作された新作のスカルリングは写実性を残しながらブランドの“らしさ”を強調するデフォルメが施され、アメリカンカルチャーを色濃く残すヴィンテージ感の為に制作の痕跡が残された質感を表現した仕上がりになっている。
日本に於けるANOTHER HEAVENのディレクターである高蝶によって、インスタグラムのライブ配信を行いながら制作されたスモールサイズのスカルリングは、顔の角度やテクスチャーからバッドバイカーが好むジャーマンスカルを彷彿させる表情を見せ、ハットとクロスボーンを組み合わせる事によって粋でニヒルな表情を覗かせるスカルのペンダントはANOTHER HEAVENの持つポップな魅力を加速させる構成。
スカルの横顔を強調したパーツと特徴的なチェーンパーツの組み合わせ方が９０年代のシルバーアクセサリームーブメントを思わせながら、抜け感のあるデザインでスタイリングの要として活躍してくれるであろう斬新さを見せるブレスレット。手首に巻き付くプレーンなバングルの先端で向かい合うスカルの側頭部から伸びたリボンに刻まれた「TRUTH」と「JUSTICE」の言葉は、スカルというモチーフの持つ意味を重ね合わせると、現代社会に対しての痛烈な風刺を思わせながらスカルバングルとしての新たな表現を完成させている。
５ヶ月連続のマンスリーリリースのファーストピースにしてこの濃度はタイトルに入る「Significant」の言葉の意味を強く思わせる内容だが、これは逆にファーストピースのモチーフにSKULLを選んだからだろうし、本来であれば２０２１年の幕開けと共にスタートする予定であったが現在の社会情勢を受けて延期に延期を重ねた事によって高まった濃度に違いない。ブランドの根幹から絞り出すピースの濃度の高さが残りの４ピースでどう変化していくか？も楽しみながらANOTHER HEAVEN「5 Significant Pieces」を見届けて頂きたい。
東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972
多才なグラフィックで数多くのアートピースを生み出し、スケートデッキやアパレル、タトゥーにもその才能を如何無く発揮しているLA在住のアーティスト・KOMY。
スカルやクロスボーンをメインモチーフとしながら、LAのカルチャーをKOMY独自のスタイルでブラッシュアップさせたデザインのANOTHER HEAVENは、LAのスタジオFAKTORYを軸に活動し、アーティストとしてのKOMYの拘りがデザインだけでなく、製作過程にもストーリーとして込められたブランド。
また、ヴィンテージテイストな仕上げを施したジュエリーも、一点一点手作業によって仕上げる事でタッチを調整し、ヴィンテージテイストの中でも色濃く浮かび上がるANOTHER HEAVENの世界観を表現している。
