WELL-BEING ACT:011-01 VANITAS

「I did have a relationship with Ms. Lewinsky that was not appropriate. In fact, it was wrong.」1998年に第42代米国大統領としてビル・クリントンが行った演説の一部は、アメリカに於いて最も不名誉な演説の1つとして知られる。日本に於いては「不適切な関係」発言として話題になったのをご記憶の方も多い事でしょう。二昔以上前の出来事なので現在になってみると馬鹿馬鹿しくも感じてしまいますが、世界情勢が危うい最中にも飛び交う不倫報道を目にしていると、人の性と言うものの変わらなさを感じますね。

不倫に言及したい訳ではないんですけど、関係性というのは法や倫理観に照らし合せれば「不適切」になったとしても、当人達の感情にしてみれば一時的にせよ「適切」だったりするから困った事になるんでしょう。これは何事に於いても同じ様な現象が起こり得ると思います。簡単に言うと、周囲と当事者の見解の相違でありますし、常識と感情の齟齬でもあります。何事に於いても起こり得るんで、問題になるのは許容範囲の認識ではないでしょうか?不倫は当人達がどう言おうが、当然ながら法的にも常識的にも許容範囲外という事でしょう。

ファッションやシルバーアクセサリーが如何に個人の楽しみとしても、やはり「不適切な関係」は起こり得ます。何もかもが適切である事が良し。とは、ならないにしても、個人の趣味趣向と某かの場に於ける常識の相違だったり、個人個人が持つ許容範囲と価値観の齟齬によるものだったり。身に着けている個人の身体とアイテムのサイズやボリュームだったり、着合わせるアイテム同士の相性だったり。適切か不適切かは認識しておく必要が、楽しむ上で生じるんではないでしょうか?

身に着け、着こなし楽しむ。人と物との“適切な関係性”を探るプロジェクト「WELL-BEING」。適切か不適切かで物の魅力も身に着けるコンディションも変化するシルバーアクセサリーの面白さ。そんな面白さを楽しむ為に、ブランドやアイテムカテゴリー・ボディパーツ毎に基本や応用となる着けこなしを紹介し、身に着ける楽しみとコンディションを探究するコーディネートやスタイリングを提案。シルバーアクセサリーとのWELL-BEINGな関係性を探っていきましょう。

Act:011 VANITAS Bangle 01

職場によって環境は様々だとは思いますが、日本の一般的な企業であれば男性が職場でも身に着けているジュエリーは結婚指輪ぐらいでしょう。これは個人の趣味趣向では無く、職場としての許容範囲がそうさせているからですね。つまり、適切か不適切か?の判断が場の常識に委ねられているからになります。もう一つ、よくある話ですが結婚している男性にしても女性にしても、浮気をしようかという時には結婚指輪を外して独身者であるかの様に振る舞う。これは異性(若しくは同性)に対して許容可能な相手であるとさせたいからでしょう。つまり、その可能性を広げる為には結婚指輪を不適切としているからになります。個人の欲求が適切と不適切を変化させる、ありがちな例ですね。

話がシルバーアクセサリーと関係の無い方向に行ってしまいそうなので、早々に進行方向を戻すとしましょう。今回の「WELL-BEING」は、バングルの着けこなしと見え方の違い。Tシャツ1枚で出掛けるには少し肌寒さを感じ、シャツを羽織ると出歩いてて暑さを感じる事もある季節に向けて、同じバングルでもどう変化するのか?を比較・検証してみたいと思います。デザインパターンを変えて、前・後編でお送り致しますのでお楽しみ下さい。

先ずはいつも通り、検証の為にバングル以外のアイテムを統一していますので留意しておいて下さい。Tシャツとワークシャツに加えてキャップは全てANOTHER HEAVENのアイテム。Tシャツは少しヴィンテージ感を加味した生地にワンポイントのグラフィック。ワークシャツとキャップに関してはシンプルにロゴを打ち出したデザインですので、シルバーアクセサリーの邪魔にならず適度に際立たせてくれる感じに纏まっています。

そして、ネックレスの方は少し意匠に凝ったクロスペンダントを60cmで下げたオーソドックスなコーディネートに、リングは検証していくバングルとデザイン的に親和性が高いアイテムを人指し指に。こちらもリング自体のサイジングやボリュームを考えるとオーソドックスな着けこなしと言えるでしょう。フォーカスするアイテム以外のアイテムとの関係性もまた適切か不適切かを考える上で重要になってきますからね。相性は掴んでおきたいところです。

それでは、同じバングルでもシャツを羽織っての見え方や着けこなし、Tシャツだけの見え方と着けこなし。どちらが適切でどちらが不適切なのか?御自分のアクションや出歩く先を考え合わせながらご覧になってみて下さい。

 

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手首には足首と同じく所謂、手くるぶし(尺骨形状突起)と呼ばれる部位があります。バングルに限らずブレスレット等の手首周りに身に着けるアイテムの場合。指先を下、脇に向けてが上と捉えた際に、この手くるぶしよりも下に着けるか上に着けるかで印象は大きく変化します。そして細身のバングルを着けこなす一般的なサイジングとしては、手くるぶしよりも下の位置になりますね。シャツを羽織った際に袖口から見える位置を意識するなら少し緩めにサイジングして適度に遊びあるのも良いですが、着け心地も含めてタイトにしてベストなサイジングと位置を決めておく事をお勧めしたい。バングルの良さってブレスレットよりも遊びを無くしてタイトに楽しみ易い部分にもありますから。袖口から覗く金属の艶かしさぐらいの楽しみ方をしてみて頂きたいですね。

どの程度までの遊びが自分にとっての許容範囲か?バングルを着けこなす際に気になるのは以外とそんなところじゃないでしょうか?特にTシャツ1枚で過ごす時期にバングルを身に着けようとすると、アクションに対してバングルがどの程度タイトなサイジングかで動きや遊びが変わります。と、言う事はつまり見え方や着け心地が大きく変化しますね。細身のバングルはタイトに着けこなすのも遊びを大きく持たせるのにも向いているボリューム。デザインがデコラティブ過ぎず丸線に近いフォルムであれば尚の事。遊びが大きくてシャツを羽織っているとバングルと袖口が変に干渉し合うのはあまり良いと思えないので、タイトに着けこなすならシャツを羽織って、遊びを大きくして着けこなしたいならTシャツ1枚でのコーディネート。

 

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モチーフなりアイコン的なデザインがセンターにくるバングル。って、アイテムとしては代表的なんで着けこなし易そうなんですが、コーディネートやスタイリング次第では主張が強くなりがちなんですよ。主張が強くなるかどうかを気にする気にしないの個人的感覚はあるにせよ、外から見ると目立ち易いのは確か。つまり、アイテムとして少しストレート過ぎる場合があるんですよね。着こなしや他のアイテムとのコーディネートで気にしておきたいのは、そのストレートさを活かすか否か。シャツを羽織ってる際には当然ですけどバングルに限らずブレスレット等の手首周りアイテムは少しストレートさを薄くして、馴染みを良くしてくれる効果があります。センターのモチーフやアイコンデザインが特徴的なバングルの場合、主張を抑えつつも存在感は活かしたいならシャツとの相性は良いですね。

プレーンなデザインのバングルにしてもそうなんですが、ある程度のボリュームがあるタイプ(縦幅15mm以上、厚さ2.5mm以上)になってくると存在感が大きいです。それはTシャツ1枚で過ごす季節になると更に顕著になってきますので、着けこなしのポイントとしてはリングとの相性が重要。肌の露出が増えるとシルバーアクセサリーの存在感は増しますよね。それだけにシルバーアクセサリー同士の親和性が着けこなしのポイントとして大きくなるので、バングルのデザインとリングのデザイン、サイズやボリュームも含めての相性が適切かどうか?を考えながら選んでみるのはどうでしょう?自分の好きな物を集めたら必ず相性が良くなるとは限りませんからね。Tシャツで過ごす季節と言うのはシルバーアクセサリーが際立つのですが、故にコーディネートの適切さ着けこなしの上手さが顕著にもなります。どんなアイテムを身に着けているか?も大切ですが、どんな着けこなしをしているか?も同じぐらい大切ですので選考の基準に入れてみて下さい。

 

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唐突ですけど、皆さんは身に着けている際にバングルと自分の距離って考えた事ありますか?触覚と言うか存在認知としては着けている感覚で手首に密着しているのでゼロ距離になります。しかし、デザインやサイズの認識は基本的に視覚情報としてなので、身に着けている際は手を下げた状態の日本人男性平均で70cm~80cm程度の距離になります。「だからどうした?」と、言われてしまいそうですが、この距離が周囲と自分とのバングルに対する認識の違いになってきます。周囲からすると身に着けている本人触覚のゼロ距離は感じ取れないので、対峙した際の距離によって印象が変化します。アイテムサイズやボリュームが大きいと印象は強くなりますよね。シャツを羽織っていてもアイテムサイズやボリュームが大きいと逆に印象が強くなったりします。大きいバングルは特に動きが少なくなるアイテムなので、周囲にとっては印象が固定化され易くシャツを羽織っていても目立ちますね。

日本人の肌の色に対してよりも黒い肌に対しての方がゴールドが際立つとはよく言われますが、シルバーが日本人の肌の上で際立つか?と問われればゴールド以上に色としては際立たないでしょう。際立たないのは馴染みが良過ぎる色だからです。デザインによって燻しのブラックが多い等の場合は肌に対して際立つ色が増えますが、モチーフやアイコンの無い金属の質感を活かしたタイプになると色による際立ちは減りますね。そう考えてみるとTシャツに対して金属の質感を活かしたバングルやプレーンなデザインのバングルを際立たせようと思ったら、サイズやボリュームが大きなアイテムを選んだ方が良いとも思えますが如何でしょうか?同じ手首周りのアイテムとしてブレスレットやレザーブレスレットではバングルに比べて際立ち方が違うのは、ブレスレットの場合はチェーンパートの並びによって生じるデザインパターン。レザーブレスレットの方はレザーカラーが際立つからでしょう。

 

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手首周りにバングル1点にしてシャツを羽織るかTシャツ1枚でか?を、検証してきましたが、ちょっと違うパターンも試してみましょう。バングルのもう一つの特徴を挙げるとするなら重ね着け、レイヤードによる整列を綺麗に行える点でしょう。並びの良さは個々のデザインパターンと共鳴しながらバングル単体とは違った魅力を醸し出してくれるものです。ブレスレットのレイヤードも良いものですけど、バングルの場合はアクションの際に遊びが少なく並びの良さを維持しますね。幅の広いバングルを1点身に着けるよりも細身のバングルを4本、同じデザインパターンだから醸し出すレイヤードよるインパクト。ここは好みの別れるところでしょう。1点でもレイヤードでも同じぐらいの幅で手首周りを飾るとなっても、1点によるアクションとレイヤードでのアクションは違いますし、レイヤードの場合はバングル同士の並びで陰影が出る事による印象が大きいです。シャツを羽織って奥行きを感じさせる着けこなしでも、Tシャツでインパクトのある着けこなしでも適してますね。

 

バングル一つ取ってみても、サイズやボリュームを基本としてデザインやコーディネートで最適な見え方がありますね。個人にとっての必要・不必要の前に、どう見えているのか?を認識する必要性もあるんだと考えて頂ければ幸いです。最後に恒例の一気見比較してみましょう。

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結局はどう着けこなすかは自分の好み次第となるのはどんなアイテムにしても同じ事です。そうではあるんですが、アイテムやコーディネートに加えてシーンに対して適切か不適切かを知っておかなければと思います。ファッションでもシルバーアクセサリーでも“着崩す”とか“ハズシ”の要素って、適切な着けこなしを知っているから崩したりハズシたり出来る訳ですから。知らないままだと“着崩れ”とか“ハズレ”になる。それは、アイテムの魅力も自分の魅力も損なってる事に他なりませんから、自分の好きなアイテムとは「適切な関係」を築き上げて頂きたいと思います。

さて、今回の「WELL-BEING」は如何だったでしょうか?長く身に着けているアイテムだと着けている自分には当たり前に感じていても、周囲からすれば違った印象や見え方になっているものですし、何を着て合わせるかのコーディネートによって、自分が持っていた印象も大きく変化します。次回、バングルについての検証・後編ではモチーフやアイコン等のデザインパターンが明確なバングルで検証していきますので、次回も楽しんで下さい。

 

[STYLING ITEM]

ネックレス:VH-206・VANITAS Chain ¥65,000- 右手人差指リング:VR-018SV ¥25,000-

右手バングル:VBG-005SV ¥28,000- VBG-007 ¥52,000- VBG-008¥94,000- VBG-005BS ¥15,000-

(全てVANITAS)

*バングルは着用順の表記となり、表記の金額は全て税別価格となります。

キャップ:¥6,800-  ワークシャツ:¥23,000- Tシャツ:¥3,800-

(全てANOTHER HEAVEN)

ご紹介をさせて頂いた作品はGALLERY REFUSE・GARAGE REFUSEにて展示販売をしております。

作品を手に取り、ご試着が可能となりますので、ご興味があるお客様はぜひともご来店ください。

GALLERY REFUSE 東京都江東区森下1-13-11 TEL:03-5600-1972
GARAGE REFUSE 東京都江東区森下1-11-7 TEL:03-6240-2972

またONLINE STOREでもご購入が可能となりますので、是非ともご閲覧ください

宜しくお願い申し上げます。

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1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
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