RUMBLE REFUSE STYLE -026-

継続させるには何かしらの理由があるものだ。至極単純な、自分が好きだからというだけの事にしても。何かを始める際にも自分が好んでと言う事が理由になるのは多いが、継続が困難になる要因もまた自分が好むが故だったりもする。好きであるが故にの継続を例え話として2つのケースに置き換えてみよう。

ある特定の何かを好む人、特に熱狂的な場合は自分の好みが左右される程の衝撃や、行動も容姿も変化させる程の初期衝動が起ってとなるだろう。しかし、年月と共に初期衝動による行動や変化の幾つかを「若さ」だったと理解し抑える様になる。また、変化していく世の中や時代、社会生活の中で他の楽しみや責務と共に熱狂は落ち着きを始める。そうして自分の中で「好きだったモノの1つ」として上手く整理していく。次にもう1つのケースを例えにしてみよう。

最初に受ける衝撃や初期衝動は最初のケースと同じく、自分が好んでいるモノに対して熱狂的であり、そして特定の拘りを持つ様になる。この好むが故の特定の拘りが対象にも自分にも変化を許さない。「若さ」によって許された行動や容姿は時間が経つに連れ、周囲から呆れられる様にもなり社会性を失う。その事によって余計に凝り固まった拘りに傾倒し変化を嫌う。自分自身に対しても「好きなのだから許される」としか言い訳が出来ず、他へ目を向ける機会を逸してしまう。

濃度や密度、或いは深度や頻度は人によって様々でも、好き故の継続は大別して例に挙げた2つのケースになる。最初のケース、これは一般的な自分が好む何かとの付き合い方、継続のさせ方になるだろう。時間の経過と共に変化を楽しみながら継続していくパターンだ。次のケース、拘りと言うよりも偏愛と呼ぶのが正しくなるのかも知れないが、その中身は拗らせと開き直りが主だ。変化を恐れ留まる事を良しとする姿勢は、継続と言うよりも惰性に近い。しかし、これはあくまでも「好き故の継続」を2パターンに大別しての話でしかないので、能動的な継続とは話が異なる事は付け加えておきたい。

ファッションやシルバーアクセサリーに於いては、誰にでも遍歴があるのではないだろうか?この「好きであるが故の継続」を当て嵌めてみても、好きなカルチャーやスタイル、好きなブランドやデザイン。年齢や収入と共に選ぶ物も選び方も変化し、社会との関わり方や人間関係によって着こなしも変化した遍歴を辿る。ファッションやシルバーアクセサリーに対する気持ちは、在り来りな言葉を使うとするなら、ある時期から「落ち着いた」状態になる人が多いだろう。しかし、どちらかと言えば落ち着いた状態に達してからも尚、選ぶ物の方が本当に好きな物のような気はしないだろうか?

「若さ」は誰もが一度は持つ事が出来る特権であるし、憤りや虚勢に無知を重ねてしまっても許されるからこそ素晴らしい。でも、その若さ故の偏愛のまま変わりたくないと変わる為の努力を怠る言い訳としての拘りは、継続でなく惰性に過ぎない。惰性を開き直って正当化するのは継続とは呼べないだろう。視野を広げ、時代に対応し、落ち着いた状態での継続にはアップデートとブラッシュアップが必須であるし、変化そのものを楽しみながら拘りを持ち続ける事が「好きであるが故の継続」の良さではないかと考えてみては如何だろうか?

何かを好きでい続ける事は素晴らしい事ではあるものの、世界も時代も変化し続ける中でのアップデートとは?年齢を重ねてのブラッシュアップとは?流行や時代性とは違う、シルバーアクセサリーを軸としたスタイリングだからこそを追求するプロジェクト「RUMBLE」。物と物が語り合う様に、REFUSE独自のアイテムセレクトとコーディネートで、拘りが落ち着いた響きを見せるスタイリングをお送り致します。

RUMBLE-026

“マニアック”とか“コア”って言葉は良い意味にも捉えられますけど、逆を返せば視野の狭さにも繋がってしまいますよね。良く言えば純愛だけれど、悪く言えば偏愛。みたいなものでしょうか?色々な物と見比べて違いを知り理解しても尚。と言うなら純愛でしょうけど、ただ単純に他としっかり比較し経験する事も無く好きなだけなら偏愛に過ぎないでしょう。自ら世界を狭くしての拘りは単なる偏りと言う事ですね。

“拘り”と“偏り”は違うって事を少し語らせて頂いたところで今回の「RUMBLE」では拘って偏らせたスタイルを見て貰おうかと思います。最初っからネタバラしみたいになっちゃいますけど、スタイリングのベースは90’sがベースになります。近年は90’sのスタイルを現代的にブラッシュアップしたストリートスタイルを多く見掛けますが、要するに「時代と寝たスタイル」のアップデートですね。そんな中で時代性は当然ながらあるものの90年代中期頃に存在した「時代と寝ようとしない」スタイルをブラッシュアップ。今回はそんなスタイルに拘って偏らせつつ、シルバーアクセサリーを軸としたバージョンをお楽しみ下さい。

 

CHAPTER:01 サイジングと着こなしの必要性

フランネルで仕立てたチェックのシャツ。所謂ネルシャツと言えばアメカジの定番ですけど、元々はワークウェアでタフな着回しが利く“ヘヴィデューティー”アイテム。当然90年代以前から存在していた事もあって古着屋に並ぶ定番アイテムでもありましたが、LAメタルやハードコアスケーター、グランジミュージックでの取り入れられ方もあって(実際はネルシャツが安価な古着である為、予算の無いミュージシャンやスケーター等が着てただけですけど)日本でも広く親しまれてますね。

ネルシャツの着こなしと言えば、オンブレチェック柄をオーバーサイズで着こなすスタイルも悪くないですけど、今回はシャツの特性も考慮して少しだけルーズなサイジングで行きましょう。襟や袖口等レザーのパイピングで飾られドレス感が香るデザインのネルシャツだけに本来はタイトに着こなすアイテムです。しかし、スタイルに合わせてサイジングを決めるのもファッションの楽しみ。今回のスタイルで合わせるならドレス感を着崩すラフさがヘヴィなシルバーアクセサリーとの相性を良くしてくれます。

現在が1990年代ならTシャツはメタルTかハーレーT。パンツはブーツカットをルーズな履きこなしになっているところです。そんな昔懐かしだけでスタイリングするのも悪くはないですけど、やはりアップデートは必要になってくる。無地のシンプルなTシャツを選んで、モノトーンを強調した中でシルバーアクセサリーを際立たせるコーディネートのセオリーも今回は無視しましょう。インパクトは強くともスタイルへの馴染みが良いフォトTを合わせる事で、足元のスタッズブーツが悪目立ちしないバランスになりますね。

 

CHAPTER:02 ブラッシュアップとミクスチャー

ネルシャツも装飾は強く、Tシャツもグラフィックが大きく、ブーツも装飾が多く、シルバーアクセサリーも重く。と、なったら空白にするべきポイントは面積も広くなるパンツ。音楽なんかでもそうですけど、この一拍空けるポイントがある事で印象のスマートさが変化してくるんです。ファッションでもシルバーアクセサリーでも、どうしても好きなアイテムを集めて“8時だョ!全員集合”みたいな着こなしにしちゃう時ってあるじゃないですか?偏愛の自己満足だけで楽しむなら否定はしませんけど、スタイルとしてちゃんとアイテムが活きる愛し方をお勧めします。

パンツにシンプルなスキニーデニムを選んで一拍空けたところで足元には強めなブーツを。90年代当時で思い浮かべてみてもカフェレーサースタイルの人達ぐらいしか選ばなかったスタッズを打ち込んだエンジニアブーツ。察しの良い方はお気付きでしょうが、今回のスタイリングは上半身だけ見たらスケーターテイスト。下半身だけ見たらカフェレーサーテイスト。だけどシルバーアクセサリーはヘヴィメタル。文脈のミクスチャーが激しく起ったのも90年代の特徴ですから、現在ならではのREFUSEスタイルミクスチャーとしたらスタッズブーツでしょう。

 

CHAPTER:03 ヘヴィデューティーな装いはワーク系アイテムで

ラフさを出そうとするとネルシャツのフロントをフルオープンにして羽織ってる感じの着こなしがベストですけど、そうなるとヘアスタイルは?ここでグリーサーのタイトな要素もミックスして映画「THE OUTSIDERS」を気取るのはちょっと無理がありますし、無造作なヘアスタイルでグランジテイストを混ぜ込むのも下半身と合いません。アイテムのお勧めとしてはタイトさがありながらラフな印象も残してくれるワークキャップ。ベースボールキャップのストリート感よりもラフ&タフな表情を見せてくれるワークキャップがスタイル全体をラフにし過ぎない役割を担ってますね。

 

CHAPTER:04 それぞれが際立って引き立て合う着けこなし

先程は、シルバーアクセサリーはヘヴィメタルと書きましたけど、今回は特に左右の手首周りとペンダントのトライアドにメタル感が滲み出てます。先ずはペンダントですけどサイズもボリュームもかなりヘヴィ。ネックチェーンは当然ですけどペンダントに合わせた太さのタイプを今回のスタイルならオーソドックスなタイトさで。ルーズさは感じさせつつも全体的にはタイトなシルエットに対して、モチーフ的にもデザイン性もインパクトが強いこのペンダントなら硬派に着けこなして頂きたい。縦長のシルエットの中で描かれたスネーク&スカルの陰影。対極に磨き上げられたブレードの潔さ。ストレートに活かすなら硬派な着けこなしでしょう。

ペンダントの硬派さに呼応させるポイントとしては左手首に巻いた幅広のレザーブレスレット。アメリカンバイカーが好んで身に着けている事が多く、ヘヴィメタルシーンでも見掛ける事が多い幅広のレザーブレスレットですけど、そういう意味呼応させるんじゃなて。手首周りにタイトな印象を持たせようと思うと幅広でベースのボディ自体はシンプルなレザーブレスレットが一番なんですよ。このアクセントは腰周りのベルト、足元のブーツとも相性の良さを発揮してくれます。

そして左手人指し指にはフルフェイスのスカルリングですね。スカルリングを最も際立たせる着けこなしって、どの指に着けるかは別にしてもやっぱり片手にシングルで着ける事なんじゃないかと思うんですよ。とは言っても、スカルリング自体のフェイスやサイズ・ボリュームに加えてフォルム自体にシングルで身に着けて申し分無い強さがあるかどうかが関係してきますけど。このスカルリングを引き立たせる役割としてもレザーブレスレットのタイトさが一役買ってますね。手首周りに幅広くブラックが入ってくる事で指元のスカルリングの良さを更に引き立たせるんですよ。

 

CHAPTER:05 スマートに響くレイヤード

首周りのペンダントや左手のタイトさに対して、右手首は敢えてガチャらせたアクションポイントとしての着けこなしを入れておきたくなりますね。細身のバングルを何本かレイヤードで着けても良いんですけど、何せ今回のスタイリングではペンダントによる硬派なセンター軸が強いですから、選ぶアイテムはヘヴィなベクトルに乗せていきたくなります。しかし注意したいのはヘヴィだと言ってもモチーフやデザインまで強くしてガチャらせない事。既にペンダントとスカルリング、ネルシャツのバックに入ったクロスにTシャツのグラフィック等でモチーフもデザインも印象の強いパートは配備されています。なので、アイテムの並びとしてはガチャらせても、モチーフのアイアンクロスも軽いアクセントとして活かすのがお勧め。薬指に着けたリングも同様に、アクションの中で腰周りのアイテムと同期した際、バランサーとしての役割を担ってもらうデザインとボリュームの物を選んで下さい。

 

CHAPTER:06 “ガチャりポイント”とバランサー

シルバーアクセサリー好きに限らず、ファッションの中ではワンポイントぐらい“ガチャる”箇所が出てくるんです。フォーマルな装いでパーティーにでも行くなら別ですけど、デイリーユースでは当たり前の様に生活とファッションは密接になりますから、鍵やお金やカードに加えて何かしらのガジェットやケースが密集するポイントがあります。女性なら多くはBAGの中や周辺。男性ならポケットの中や腰周り。このガチャるポイントを好き好んでガチャらせる人もいますし極力減らしたい人もいますが、今回のスタイリングでは左腰に集中してガチャらせる事でアクションパートにし、他との対比を作り出しています。要するにアクションパートは右サイドに寄せておいてフロントの印象をタフでありながらスマートにする手法。

ウォレットチェーンは癖でフロントからバックへ回した着け方をする人も多いですし、90年代のスタイルそのままだったら主張する様にフロントtoバックにするでしょう。ウォレットチェーン1つにしてもサイドtoバックのこうした着けこなしを変化させる事でスタイルはブラッシュアップされますし、印象の変化が理解して頂けるかと。サイトtoバックの利点はフロントをスマートにするだけで無く、ウォレットチェーンが長く垂れ下がる事によってスィングが大きくなって上半身のバックスタイルを引き立ててくれる事にも繋がります。後はやっぱりこのスタイルですと右手を下ろしている状態でのガチャりポイントが強くなる事ですね。このガチャり具合に対してリングをバランサーとして最小限にして空白を設けているのが利いてきます。

逆に左腰周りはペンダント、レザーブレスレット、スカルリングと上手く響き合うバックルのサイジングでタイトさを最大限に引き出し、シルバーアクセサリーの際立つポイントをバランス良くしてますね。右腰バックにウォレットとコインケースが下がってウォレットチェーンが絡むポイントに、対角線でバックルを配するバランス。正面から見るとペンダントのセンター軸に対して右下でボトムを支えるバランス。レザーブレスレットでタイトにスカルリングを引き立たせている事に対して全身で見た時にトーンダウンしない為のバランス。スタイリングのトータルをシルバーアクセサリーを軸とした視点で見てみると、今回のセンター軸はペンダントですが、バランサーはバックルになっているんじゃないでしょうか?こうしたバランス軸やバランサーの選び方もアイテムと共にアップデートして楽しんで下さい。


好きな時代。好きな物。好きなスタイル。「俺が好きだから良いんだ」「どうせ好きじゃない奴らには理解出来ないよ」って、マニアック気取りながらSNSに自慰行為的な書き込みして傷を舐め合う様な、自分が好きな物やスタイルを卑屈にしか誇れない偏愛なんて嫌じゃないですか?好きな物は物自身で変化する事は出来ないのに、どうしたって時代は流れて変化していくんですから、身に着ける自分が着けこなし方をブラッシュアップしてスタイルを構築していかないと、真正面から誇れないですよね。好きな物なら真正面から誇れる様な楽しみ方をして頂きたいです。

時代が進化すると言っても、最も悲しいのはブラッシュアップを言い訳に時代と簡単に寝る様な刹那的楽しみ方ですし、偏りを武器に開き直って変われない自分を肯定してしまう卑屈的楽しみ方も同じじゃないでしょうか?好きな物を愛用するのは素晴らしい事ですが、物が泣く様な楽しみ方はお勧めしたくないですからね。余計なお世話になってしまいそうですが、自分が好きだった文化や好きだった時代を見つめ直し、落ち着いて物と語り合う様な楽しみ方をスタイリングで活かしてみて下さい。

 

[STYLING ITEM]

ワークキャップ:Loud Style Design¥50,000- ネルシャツ:Loud Style Design¥68,000- Tシャツ:Loud Style Design¥7,800- デニムパンツ:Loud Style Design¥52,000- ベルト:Loud Style Design¥90,000-カスタムブーツ:CAMURO 参考商品

ネックレス:Loud Style Design LGN-108¥180,000-  左手人差指リング:Loud Style Design UR-037¥62,000- 左手レザーブレスレット:Loud Style Design UGLB-006¥28,000- 右手薬指リング:Loud Style Design UR-021¥12,000- 右手ブレスレット:Loud Style Design LSB-009¥75,000- 右手バングル:ANOTHER HEAVEN AHBG-012¥80,000- ウォレットチェーン:ANOTHER HEAVEN AHWC-003¥160,000- コインケース:ANOTHER HEAVEN AHLC-001¥13,000- ウォレット:ANOTHER HEAVEN AHW-002¥38,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more