XOX 07 -REACT-

XOX – CROSS RING TEN –

2021年にブランドの20周年を控えるLoud Style Designが2019年に20周年を迎えたREFUSEの20周年との空白の1年を繋ぐ「XOX」。2020年3月より2020年12月まで毎月10日にクロスリングをワンアイテムずつリリースし、10本の指それぞれとクロスリングに合わせたスタイリングを行うプロジェクトである。

 

川の水面に小石を投げ入れてみると、ほんの束の間波紋が広がる。川はその波紋を消しながら記憶せず何事も無かったかの様に流れ続け、波紋が起ったという事実は観測した者の中にだけ残り、それを観測していない者にとっては事実か否かは判らない。過ぎ続ける時間の中で、人が写真や映像や書物として記憶を残し続けるのは、そうしないと何事も無かったかの様に消されてしまい記憶されない自分の中の事実を誰かに伝える為なのだろうか?

[REACT]

No: LXR-007 Price¥40,000-(+TAX)

聴き覚えのある曲を耳にすると特定の思い出や感情が浮かび上がる現象を経験した事のある人は多いだろう。しかし、その曲自体はその事を知る由も予測する事もなく流れ続ける。こうした現象は感情や記憶のトリガーを自分では無く外部に設ける事を基点に引き起こされ、言わば外部記憶装置を設定する事で日頃は意識していなくても特定の条件に反応して起る働きである。

曲自体が誰かの思い出や感情を意識しないのと同じ様に、人もまた自分の行動が誰かや何かに対してどんな現象や反応を引き起こすかを全て予測する事は不可能だし、全てを察知して記憶する事も不可能だ。シルバーアクセサリーやジュエリーに対してお守り的な要素や記念品として扱う事の多さ、受け継ぐ事を文化として続けている事の多さが内包するのは、身に着ける事で外部記憶装置として機能する特殊性にあるのだろう。それだけに、記憶するだけのスペースが必要だという理念がLoud Style Designのクリエイションには見て取れる。

左手人指し指はリングを選ぶ際にはかなり遊べる指だろう。左利きでも無ければ右手程にはペンを走らせたり物を掴む動作が激しく無い傾向にあるだけに、サイジングやボリュームも指の太さや長さに対して自由度は高く、隣り合う親指とのぶつかり合いも少ない事からモチーフやレリーフもデコラティブなアイテムが合わせ易い。

そう考えると左手人指し指にと用意されたこの「REACT」はサイドのレリーフこそデコラティブであるものの、サイジング自体は大きくなり過ぎないリングであり、トップに厚みを持たせながらサイドへと流れる箇所はギリギリに削いでバックに厚みを持たせ、左手人指し指のアクションとリング自体のバランスを考慮したボリュームで、ストレスが少なく長い時間着け続ける事が重視されているようだ。

最も特徴的なのはやはりセンターのクロスデザインだろう。レリーフで形作られた印台に対して、ゴシックなデザインとしてはギリギリのシンプルさとレリーフのサークルから突出した厚みは印象的な明暗を示す。行動や進路を指し示すと言われる左手薬指に対してなのを鑑みれば、この明暗の強さの意図が読み取れるが、「REACT」のクロスデザインがシンプルな鏡面で構成される本来の意図はそれだけでは無く、身に着ける事で持ち主の行動に反応する様に傷を負い変化していく事の重要性が表現されている。

身に着けている際に受ける光。それに反応する様に見え方を変えるのがシンプルでプレーンなデザインの良さだが、「REACT」が特徴的なのはクロス部分を突出させる事で、敢えて傷を受け易くし着けて過ごした時間に反応しながら表情を変化させ記憶していかせる事がこのデザインの目的だ。左手薬指という自由度の高い箇所でこそリングの正面で負う傷があるという事なのだろう。

シンプルなクロスによって明暗がハッキリと描かれたリングだけに、近いテイストのアイテムを揃えてゴシック寄りのモードなスタイリングを想像するのは容易いが、「XOX」で描かれるスタイリングにはLoud Style Designが如何に多くのベクトルに反応可能か?その能力が提示される。

街中で時折目にする浮浪者や渡り鳥労働者の襤褸を纏うホーボーテイストとストリートスケーターの良さをマッシュアップしたかの様なスタイリングは、全てがLoud Style Designでありながら今迄は片鱗だけを見る事が出来た程度だった加工の激しさを如何なく発揮した新たなアイテムによって構成されていているが、ブランドの持つシルバーアクセサリーと融合するアパレルであるポイントは少しもズレていない。

「REACT」のコントラストをより強調する左手首バングルの重ね着けは、クラッシュさせながらランダムなステッチワークでレザーと組み合わせたパーカーの中で心地好いレイヤードを生み出し、右手に着けた細身のブレスレットによって左手だけにバランスを奪われない。

インナーのTシャツからはホワイトのプリントが際立つ「BLACK FLAG」のアイコンを破ってLoud Style Designのロゴが覗くが、このインパクトの強さには邪魔しないサイズのペンダントがよく似合う。全身のブラックに対してホワイトのプリントやスニーカーのホワイトラバーがコントラストを打ち出すのと共鳴するシルバーアクセサリーは、鏡面を活かしたデザインのアイテムが最適だろう。そうする事で「REACT」の特徴がより際立つ。

クラッシュとリビルドに目を奪われがちなスタイリングだが、シルバーアクセサリーの観点から特徴を挙げるならばウォレットチェーンの不在になるだろう。特に腰回りのアイテムに力を入れているLoud Style Designのスタイルならばウォレットチェーンが無ければウォレットハンガーやキーホルダーが登場しそうだが、そもそもこのスタイリングには外に見えるカタチでウォレットが存在しない。

ウォレットも含めデイリーで必要なガジェットは、クラッシュさせたスキニーのデニムパンツとパーカーの丈に合わせて低い位置で備えたヒップバッグに納め、バックスタイルの重要性を物語る様にクラッシュ&ビルドのパーカーにセットされたジップラインと響き合って腕周りのシルバーアクセサリーが際立つ。

時代性を選ぶよりも自らが目にし記憶してきた何かに反応する様にクリエイションを行うLoud Style Designが、アメリカで活動する中で手に入れ確立したスタイルの一端。その為のテクニックが「REACT」の特徴と絡み合って反応を起こしたスタイリングは新たなスタンダードをブランドに齎そうとしている。

反応するという事は万物の中からサインを読み取るという事。それなのに人は時に反応する事を拒否し、反応を誤り記憶する事を忘れる。昨日、誰かに伝えた言葉で相手がどんな反応を示したかを正確に記憶しているだろうか?自分が通った帰り道で空気がどう流れたかを覚えているだろうか?何かに反応して記憶し続ける事は容易では無いし意識していない事の方が多い。それだけに人は意識せず外部に記憶を留めようとする。

川の水面に生じた波紋は観測した者の中だけに残っても、やがて川の流れの中に消えていくのと同じく観測者の記憶からも消えていくが、波紋を起した小石には僅かでも投げ入れられた痕跡が刻まれる。光に反応する様に表情を変えていたクロスが身に着ける者の行動に反応して傷を負いながら鈍い輝きへと変わり、言葉を発せずとも物語ってくれる頃、記憶は進路を指し示すサインとなる。

 

[STYLING ITEM]

キャップ:参考商品 ジップパーカー:ONE MAKE ¥130,000- Tシャツ:ONE MAKE ¥30,000- デニムパンツ:ONE MAKE ¥60,000- シューズ:CONVERSE CUSTOM  ULLS-002-BK ¥80,000- ヒップバッグ:LGWB-002  ¥220,000-

ペンダント:UH-017 ¥20,000- 左手人差指リング: LXR-007 ¥40,000- 左手バングル上下:UBG-009¥28,000- 左手バングル中央:UBG-011¥52,000- 右手ブレスレット:UB-021 ¥55,000-  ウォレット:LSW-002¥40,000- (全て Loud Style Design)

*表記の金額は全て税別価格となります

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

ONLINE STORE

MOTOR CYCLE、HOT ROD、ROCK N’ ROLL、PUNK、HEAVY METAL、LOUDと称されるカルチャーに共通する美学や哲学。そこに在る言葉では表せない衝動、心を突き動かし続ける真実を掴み取る事で生み出されるプロダクト。
造型物としての美しさを追求し、身に着けた人のスタイルとなるアイテムを自分達の手で製作する事を根幹とし、LOUDなSTYLEをDESIGNする事で創り続けるのは、深く刻まれる生き様や思想と重ね合わせ身に纏う真実。一つの真実が、手にした誰かのストーリーになりスタイルとなる。

Loud Style Designの全ては、銀という素材を直接加工する事で創り出す原型に端を発し、想像を創造へと進化させる技術を研鑽し、装像を送像する為のアイデアを練る事で転がり続けながら、不変のバランスに独自のストーリーを刻み、流れ去って行くデザインでは無く、永く在り続けるデザインを生み出す。