5 Significant Pieces 4th

アメリカン・ニューシネマと呼ばれる1つのムーヴメントは当時の野心的な映画人、特にインディペンデントな精神性を持った若い映画人達が時代のリアルを描写する事によって起った。社会で美徳とされる既定路線を疑い、道から外れる事によって起る迷いと焦燥感がドラッグとバイオレンスを伴いつつ映し出された世界は、反抗と無軌道さの裏で“自由の国・アメリカ”の意味を問うテーマ性を持って描かれている。そうした作品群の中に、今回のプロジェクトタイトルの元となった「FIVE EASY PIECES」が存在しているが、アメリカン・ニューシネマの中で最も有名な作品と言えば「EASY RIDER」(1969年 デニス・ホッパー監督作品)だろう。

ANOTHER HEAVENと言うブランドが描く世界の中にモーターサイクルカルチャーが色濃く顔を出すか?と、問えば現在はそうでもないだろう。しかし、ブランドのアーディストであるKOMYが創作を行うLAのFAKTORYに行ってみれば解る事だが、グラフィックに留まらずKOMYの描く作品の中に、そしてブランドのベーシックな部分には深くモーターサイクルカルチャーが根ざしていて、其処にはアメリカンニューシネマ「EASY RIDER」から続く自由の象徴としてのアウトサイダーを感じさせてくれる。

映像として表現された世界をグラフィックに落とし込むアーティストが多いのと同じく、ヒストリックなモチーフやアイコニックであるアウトサイダーな存在はシルバーアクセサリーで表現する対象として多くのブランドやクリエイターが用いる物だが、カルチャーやスタイルを鑑みて用い制作し、それをまたカルチャーやスタイルとして文脈にしていくブランドやクリエイターは多いのだろうか?と、問えば残念ながらカルチャーやスタイルの上澄みだけを掬って売り物にしているブランドの方が多いだろう。

5つのモチーフ毎に5アイテムで表現し5ヶ月連続でリリースするプロジェクトである「5 Significant Pieces」は、モチーフのヒストリーやスタイルを描き出しANOTHER HEAVENによって文脈として残していけるのだろうか?日本のディレクターである高蝶の勝負所は其処になる訳だが、プロジェクトも後半戦となる今回はANOTHER HEAVENのベースに根ざしていながらモチーフとして表現されていなかった文脈を描き出す。

アメリカン・ニューシネマに多大な影響を受け、多感な時期をモーターサイクルカルチャーに浸かり、鉄十字を背負って生きている高蝶だからこそ、ANOTHER HEAVENで描くには最も難しいテーマ「アメリカから見た鉄十字」を提示する4th SEASON。スタンダードとイノベーションが交差するポイントが如何に示されるかに注目したい。

 

ANOTHER HEAVEN 「5 Significant Pieces 4th」
2021年10月21日~24日 GARAGE REFUSE  13:00~

 

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

多才なグラフィックで数多くのアートピースを生み出し、スケートデッキやアパレル、タトゥーにもその才能を如何無く発揮しているLA在住のアーティスト・KOMY。
スカルやクロスボーンをメインモチーフとしながら、LAのカルチャーをKOMY独自のスタイルでブラッシュアップさせたデザインのANOTHER HEAVENは、LAのスタジオFAKTORYを軸に活動し、アーティストとしてのKOMYの拘りがデザインだけでなく、製作過程にもストーリーとして込められたブランド。
また、ヴィンテージテイストな仕上げを施したジュエリーも、一点一点手作業によって仕上げる事でタッチを調整し、ヴィンテージテイストの中でも色濃く浮かび上がるANOTHER HEAVENの世界観を表現している。