REACH OUT and TOUCH ROYAL FLASH-Jingumae-

雑音は人々から避けられる傾向にある事は、日常の中で会話を遮る雑踏や喧噪を嫌う時や、極端な場合には自分とは合わない意見や価値観を雑音として忌み嫌う意識からも見て取れる。雑音について少し疑問に思うところがあるのは“雑音だけを集めたらソレは雑音になるのか?”に、ついてだ。音楽の世界で言えば解り易くノイズ・ミュージックと呼ばれるジャンルが存在し、映像の世界でもノイズエフェクトとコラージュで表現された作品は多数存在する。もう少し身近な部分で言うならば、YOUTUBEでは街の雑踏や喧噪だけの音を集めたBGM、雨音だけを流し続けるWEBラジオ等が挙げられる。意識の方の話はもっと単純で、他人の意見や価値観を自分が雑音の様に感じても、発してる側にとっては至極真っ当な主張でしかない。

VANITASのコレクションには、雑音を具現化した様なデザインが存在していたが、今回のエキシビジョンツアー「REACH OUT and TOUCH」のファーストテイクROYAL FLASH JINGUMAEでのリリースは、“歪み”がキーワードだと最初に記しておいた方が良いだろう。既存のコレクションラインに於ける、金属を直接加工する事で質感を重要視したアイテムを、ギターサウンドで例えるならエフェクターで歪ませるのだとしたら、今回リリースされたアイテムは元となる旋律自体に歪みを加えて構築させている。

ともすればジュエリーとしては成立しなくなってしまう歪みに金属の質感を演出する事で成立させる技法は、廃墟で朽ちた物質の美しさを感じ取るセンスとジュエリーを身に着けた際に際立つ美しさを理解していなければ成り立たない。表面的な演出として傷や歪みを施した金属加工や、アクセントとしてヴィンテージのフィニッシュを行うブランドと一線を画すVANITASのコレクションの魅力は、今にも崩れそうなギリギリのラインで歪みをジュエリーとして成立させている事が大きい。

錆びて打ち捨てられた金属の破片や、壊れたまま朽ちて素材の判別も付かなくなった廃材。そんな日常生活では景観に対する雑音としか意識されない存在の中にも、歪んでいるからこその美しさと、雑音だけで構成されるが故のバランスが残っている事をVANITASの新作に直接触れて感じてみて頂きたい。

 

TOUR SCHEDULE

2022.7.14(Thu)- 7.20(Wed)

ROYAL FLASH-Jingumae- 東京都渋谷区神宮前6-18-8 TEL 03-3498-2973 URL: https://www.royalflash-jp.com

2022.7.28(Thu)- 8.3(Wed)

LOOM OSAKA 大阪府大阪市西区北堀江1-14-21大和ビル1F TEL 06-6534-1630 URL: http://loom-osaka.com

2022.8.8(Mon)- 8.14(Sun)

ROYAL FLASH-Fukuoka- 福岡県福岡市中央区天神2-10-3 VIORO 4F TEL 092-406-4432 URL: https://www.royalflash-jp.com

 

ラテン語で空虚を示す言葉であるVANITASは、生命や存在の儚さ空しさを独自のテクスチャーと様々な加工技術によって表現する事をテーマに、崩れ往く過程や錆びて朽ちる様、其の「今」という瞬間を切り取り「現在」に具現化させる。
ヨーロッパアンティーク調の様式美や、アメリカンヴィンテージの質感を取り入れながら、廃墟美にも通ずるデザインとフィニッシュは、大胆さと繊細さを兼ね備えながらも様々なシーンにフィットし、共に時間を経る毎に「今」を刻んでいきます。