Nothing stays the same

一時的な休養期間を経て、TNSKが次のアクションへと移ろうとしている。インダストリアルファニチャーという分野でも特に照明に対して新しいアプローチを繰り返してきたTNSKだが、2018年の夏から創り手である河崎氏の体調もあり一時的に活動を停止し療養期間を経て今後の活動内容を定める熟孝に務めてきた。そういった期間の中でもゆっくりとではあるが新しいクリエイションにチャレンジし段々と方向性が定まったという事だろうか、進むべき方向性を見出して動いているとの報告が得られているのだが、先ず今回はTNSKのランプを見直してみたい。

鉄と真鍮をメインのマテリアルに選びヴィンテージやアンティークの質感を醸し出していく。その表現の中に質実剛健な重みを併せ持ち、トライアル的に異素材との組み合わせを繰り返していく事がTNSKの独自性を発展させている事は、過去に制作されたランプを見ているだけでも伝わってくる。

エジソン電球によって彩られた温もりのある光が、急速ではないボンヤリとした方向性を示すかの様に、「予定よりも時間が掛かってしまったが」という事になるにしても、次の段階へと進む事が決まったTNSKの続報に期待したい。

無機質な鉄、真鍮を用いて一つ一つ創り、生み出す物。シンプルでありながらも、ストレートに強く残り、空間を彩るというより、空間になじみ、溶け込む。それがTNSKで創り出したい物であり根幹。

石川県の工房で、創り手である河崎龍弘が一点一点手掛けるプロダクトは、インダストリアルファニチャーとしての機能美の中に素材を活かした無骨さとヴィンテージのアイテムが醸し出す様な味わいを同居させ、無機質な筈の素材に不思議な温もりと存在の心地良さを与えてくれ、一度空間に置いてみると、「其処に在る事で其処に無くてはならない物」となります。