EVENT REPORT : ROYAL FLASH -Jingumae-

最もトラディショナルなモチーフを選択する事で「ブランドを再定義する」というテーマを体現してみせた。CASE: Loud Style Designのクリエイションを簡潔に述べるならば他に言葉が見つからない。新たなフェーズ新たなスピードは、SPEED SPECTERをどう変えたのかROYAL FLASH Jingumaeでのイベントをレポート。

「先ずは基本から」とでも言いたげにベースリングを用いてヴィンテージ感と粗さを活かしたスカルリングを2時間程で彫り終えると、銀板を切り出してシールドのパーツと組み合わせながら造形していき初弾のスカルリングとは対照的なエッジを活かしたダガーのワンメイクへと仕上げる。クリエイションの初日はワンメイクでLoud Style Designらしさを示した従来のクリエイションペースに近いものだったが、変化は二日目に訪れた。

スピードを出す為に突進型で彫り進めるよりも、どっしりと腰を据えた構えで球体に近いシルバーのベースを使って続いてもスカルを彫りだす。球体に近いプレーンなベースを用いる事は今までのSPEED SPECTERのツアーではあまり見られなかったが、それよりも目を惹いたのはスカルのフェイスだ。

暴力の香りが漂う攻撃的フェイスはLoud Style Designの持つ凶悪さが存分に発揮されながら日本刀の様な鋭さを感じさせる。新作をライブで創り出す事を一つの目的にしていたであろう事は、テーマに「ブランドの再定義」を掲げている以上、何処かでやってくるとは予測出来たが、最もトラディショナルなモチーフの一つであるスカルをペンダントで創り出してくるのは想定外だった。

近年のLoud Style Designの新作は“流れ”を活かしたアイテムが多かった事もあって、新作をライブでクリエイトするなら同じ路線になると思った人も少なく無いだろう。しかし、前回のツアー「LAST×FAST」のファイナルでスカルリングの新作をクリエイトした事を思えば、既に予告は為されていたという事なのだろう。

展示をメインでスタートし、二日間のクリエイションからまた展示の期間を経てまたクリエイションへと至る。SPEED SPECTERのツアーイベントにしては変則的なスケジュールだったが、これも新たなフェーズに於いてのやり方の一つだしスピードの変化の一端と言う事なのだろう。ライブクリエイションとしては最終日となったこの日に創り出されたのは、またしてもトラディショナルなモチーフであるクロスだった。しかも、揺るぎなく“どストレート”なゴシックデザインである。

ストレート過ぎて今では手を出し難くなってしまっている様なデザインを敢えてLOUD STYLEで表現してみせた“男勝負”的なクリエイションは、成形を終えてから一旦はキッチリと鏡面の仕上げを施し、そこからSPEED SPECTERのテクニックとしてスクラッチとテクスチャーを入れて使い込まれたヴィンテージ感を出している。Loud Style Designらしいバランスとエッジ、そしてこの後加工が単なるゴシックデザインで終わらせないアイテムを導き出しているのは間違い無いが、際立つのは何よりライブ感の強さだ。

 

時間を掛けて組み立てられたアイテムのスニーカーやデニムとは対照的に、インプロビゼーションを活かしたライブでのクリエイション。この二律背反にも似た内容が今回のツアーなら何処でも見られるとは限らないだろうが、工具と素材だけで繰り返してきた今までの旅を終えて、SPEED SPECTERは確かに新たなスピードで新たなフェーズへと突入していた。

 

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【ROYAL FLASH-Jingumae-】

東京都渋谷区神宮前6-18-8 TEL:03-3498-2973

URL:http://www.royalflash-jp.com

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。